家族信託においても、適用される税金の優遇措置がいくつかあります。今回は信託財産にいれた不動産の売却の際の譲渡所得税についてお話します。
家族信託財産の一つである受益者が居住する不動産を、受託者が、その売却金を受益者の施設入居費用にあてる等の目的で売却したときは、売却による譲渡所得から3,000万円の控除をすることが出来ます。
売却時の譲渡所得税の算定方式は次のとおりです。
①売却による総収入額ー(当初の取得費+今回の譲渡費用)ー特別控除額50万円
=譲渡所得金額(A)
②((A)ー 3,000万円)×税率ー控除額=譲渡所得税額
一方、国税庁文書回答(令和4年12月)によれば、 委託者の死亡が原因で信託が終了した後、 残余財産受益者又は帰属権利者が、当該 残余不動産を売却する際において、空き屋 の3千万円控除の特例の適用はできない、とされています。
信託財産の売却に係る譲渡所得税については、あらかじめ家族信託の設計のときからおさえておきましょう。
ホームズ家族信託法務事務所 コンサルタント・行政書士 川上 徹
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